活動記事

2019年12月2日
令和元年度 第2回地域ITS研究会
日 時:令和元年12月2日(月) 13:15~17:10
場 所:NCO札幌(旧ビル名:NSSニューステージ札幌) 5F会議室

 

講演1
My City Reportの取組と道路管理の高度化
関本 義秀 様(東京大学 生産技術研究所 准教授)

次世代型の市民協働プラットフォームの「My City Report」に関する取組と道路管理の高度化ついて、ご講演をいただきました。講演の冒頭、空間情報とアルゴリズムを駆使して、都市全体を効率的、前向きに管理する「人の流れプロジェクト」における人の流れに関するデータを提供する時空間サービスについてご紹介いただきました。

千葉市と全面的に連携し、「ちばレポ」をベースにしつつ、機械学習、IoT、最適資源配分等の機能を組込んだオープンソースの次世代型市民協働プラットフォーム「My City Report」を開発し、汎用化されたプラットフォームの全国の地方自治体への展開を目指しているということです。また、今年4月からは7つの自治体によるコンソーシアムが運用を開始しているということです。

道路管理用車両等に搭載したスマホから自動的に道路の傷を検出する機械学習によるWebツールが実用に耐える精度を実現していることや、自治体の道路パトロールでの運用状況をご紹介いただきました。また、市民協働向けアプリと道路管理者向けアプリを開発し、運用を進めながら道路領域検知機能の追加などの改善を進めていることをご説明いただきました。

さらに、「デジタルスマートシティイニシアティブ」社会連携部門を東京大学生産技術研究所に設置し、国土交通データプラットフォームプロト版の公開や包括的なデジタルスマートシティの支援を進めていることをご紹介いただきました。

質疑応答では、都市や道路を改善するためのデータ活用のあり方、プラットフォームの特徴、実際の舗装管理で用いる損傷種別への対応、精度向上のための工夫などに関する質問などがあり、活発な議論が行われました。


講演の模様
講演2
北海道の高速道路における雪氷対策
加藤 謹也 様(東日本高速道路株式会社 北海道支社 事業統括課 課長)

東日本高速道路株式会社北海道支社が取り組んでいる北海道の高速道路における雪氷対策についてご講演いただきました。講演の冒頭、北海道の高速道路(有料区間)の現況、雪氷対策の概要についてご紹介いただきました。

冬期交通確保に向けた取組として、①観測機器の充実、②現地状況把握の強化による安全性確認、③解除目標の予測と共有、④作業効率の向上・迅速化、⑤適時・的確な除雪等作業の実施、⑥臨機応変な作業体制の構築、⑦異常降雪時における広報強化を進めているとのことです。

観測機器の充実では、降積雪量Webシステム、道路画像配信システム、車載式センサによる塩分濃度測定、短期気象予測システムの導入についてご紹介いただき、管理事務所防災対策室での情報集約、分析、判断、作業指示に活用されていることをご説明いただきました。

オペレーション強化として、GPS(車両位置情報)の活用、凍結防止剤最適自動散布システム、マルチ除雪、パワー除雪、臨機応変な除雪体制の集約・分散化、準天頂衛星を活用した除雪作業車両の運転支援システム、人工知能による雪氷対策作業の判断支援をご紹介いただきました。さらに、お客さまへの情報提供として、高速道路上の情報提供施設、インターネットによる情報サービス、「ドラぷらモバイル」による携帯電話情報サービス、SNSによる情報発信、異常気象時の事前広報についてご説明いただきました。

質疑応答では、通行止め解除の見込み時間、通行止め要因の内訳、雪庇防止対策、人工知能による判断支援の開発手法、情報発信手法などについて質問があり、活発な議論が行われました。


講演の模様
講演3
DOMINGOプロジェクトについて
~多様なデータの融合解析による非日常の検知に向けて~
丹治 和博 様(一般財団法人日本気象協会 北海道支社 統括主幹)

東北大学・愛媛大学と民間企業8社で構成するDOMINGO(Data Oriented Mobility Information group:データ指向型モビリティ情報生成グループ)プロジェクトについて、ご講演をいただきました。講演の冒頭、DOMINGOプロジェクトの背景と目的、研究体制、共同研究の活動についてご紹介いただきました。

DOMINGOプロジェクトでは時空間的に混在する多種多様なデータの融合解析により災害リスクを検知・評価する技術開発や減災・避難支援計画に資するための情報提供システムの構築を進めており、その中の一つとしてプローブデータ(車の位置情報や速度情報)と気象データ(降雪、吹雪の分布)から、降雪・吹雪時に交通障害が発生・拡大する様子を解析し、気象データと車両データの融合による可視化を目指しているということです。

山梨豪雪災害(2014年2月)の可視化では、降雪量の経過と速度低下・孤立の関係や雪が止んでも道路交通がなかなか回復しない様子、国道交差点での交通障害と降雪量の関係、交通マヒ・立ち往生と降雪量の関係をご説明いただきました。

さらに、DOMINGOプロジェクトで開発しているシステムとして、避難交通シミュレーション、災害時のリアルタイムモニタリング・アラートシステムについてご紹介いただきました。実証実験ではシステムの有用性や改善点などをご説明いただきました。

質疑応答では、大雪時のアラート発信の条件、車の速度低下予測の可能性、浸水や地震などの災害への適用などに関する質問などがあり、活発な議論が行われました。 


講演の模様
講演4
NTTドコモの次世代モビリティにおける取り組みについて
小鷹狩 裕朗 様
(株式会社NTTドコモ 法人ビジネス本部 IoTビジネス部
コネクティッドカービジネス推進室 第三ビジネス推進担当部長)

モバイルICTの活用による社会課題の解決を目指すNTTドコモの次世代モビリティにおける取り組みについて、ご講演をいただきました。講演の冒頭、モバイルネットワークの進化の過程や、5Gの目標性能である高速・大容量、多数接続、低遅延を実現するためのロードマップについてご紹介いただきました。

次世代モビリティのビジョンとして、将来の自動車産業レイヤ、ドコモの提供価値を踏まえたサービス展開が示され、この中で車空間×スマホ空間の連携、MaaS事業、自動車データを活用したビジネスをご説明いただきました。

MaaSへの取り組みとして、AIタクシーの需要予測では予測正解精度95%前後を実現し、新人ドライバーでも1日平均10~15%の売り上げ増になったことをご紹介いただきました。さらに、AI運行バスでは、全国10箇所の運行にて18万人の輸送実績があることをご紹介いただきました。

自動運転への取り組みとして、5Gを活用した遠隔運転、高精度GNSS位置情報サービス、車内空間サービスへの取り組みとして、インフォテイメント(Information+Entertainment)、快適な車内操作を支える音声認識技術、通信型ドライブレコーダーとして、運転診断技術、除雪運行管理での利用などをご紹介いただきました。

質疑応答では、基地局の設置のあり方、AIタクシーの会社側の対応、AI運行バスの地方での運行可能性、自動運転における5G+αの内容、ドコモからの直接的なサービス提供などに関する質問などがあり、活発な議論が行われました。 


講演の模様