活動記事

2020年10月26日
令和2年度 第1回地域ITS研究会
日 時:令和2年10月26日(月) 14:00~17:00
場 所:北海道大学 学術交流会館 第1会議室

 

講演1
i-Construction・BIM/CIMで活用される3次元計測技術とデータマネジメント
矢尾板 啓 様(株式会社パスコ 新空間情報事業部 事業推進部 事業推進課 課長)

i-Construction ・BIM/CIMで活用される3次元計測技術とデータマネジメントについてご講演をいただきました。

冒頭では国土交通省が進めるi-Constructionの実施状況の報告をいただくとともに、3次元計測技術として、近年各地で発生する災害現場での計測事例や、UAVやMMSによるレーザー測量を用いたi-Constructionでの活用事例をご紹介いただきました。

近年3次元計測技術には航空機による空撮やUAVによる計測など様々な技術があり、それぞれの特徴を理解したうえで最適な技術の選定が必要であることが示されました。 また、効率的な計測を行うためには、対象範囲や障害物など周辺環境を踏まえ、飛行コースやフライト時間等について十分な事前計画を行うことの重要性をご説明いただきました。

さらに、最新の取組事例として、衛星を活用した沈下量の計測技術や、橋脚側面の画像診断、山岳トンネルにおける活用など3次元計測や画像処理技術の最新動向についてご報告いただきました。

今後は、3次元計測データの経時的な変化を蓄積することでアーカイブとして活用することや、従来の2次元平面図データと3次元計測データの融合、さらに施設点検データと組合せることなど、データの効果的な活用方策についてご説明いただきました。

質疑応答では、地方自治体が3次元計測技術を活用していくための課題、道路の維持管理面での3次元計測データの有効活用方策、日本の3次元計測技術の世界における位置づけなどについて、活発な議論が行われました。


講演の模様
講演2
北海道二次交通オープンデータ化の取り組みについて
高野 元 様( 株式会社ユニ・トランド 代表取締役社長)
越後 智介 様( 株式会社メディア・マジック 取締役第1開発部長)

北海道二次交通オープンデータについて、2つの取組についてご講演いただきました。

1つ目として、株式会社メディア・マジック越後様から、「バスキタ!」の取組について、①バスロケーションデータを活用しリアルタイムのバス混雑状況を提供するサービス、②QRコードを活用したバス経路情報や運行状況を提供するサービスについて、札幌や旭川での実例を交え、地域に根差した二次交通利用を支援する取組みをご紹介いただきました。 バス混雑状況の提供サービスでは、コロナ禍において混雑バスを避けるための一助となることが報告されました。

2つ目として、株式会社ユニ・トランド高野様から、バス事業者と経路検索等の情報利用者との情報の受渡しのための共通フォーマットであるGTFS-JPオープンデータ化の取組についてご講演いただきました。 現在進められているオープンデータ化プラットフォームには全国で79の事業者や自治体などが参画し、バス停留所、経路・系統、時刻表などをデータ化し、GoogleマップやMoovit、など各種情報サービスで活用が進みつつあることをご紹介いただくとともに、今後は、オープンデータの持続的更新・継続運用が重要であり、その仕組みづくりとしてツールの検討が進められていることをご説明いただきました。

質疑応答では、参画するバス事業者の状況や今後の展開について、参画するバス事業者が享受できる効果などについて活発な議論が行われました。


講演の模様

講演の模様

会場風景
講演3
可搬式ナンバー自動読取装置を活用した無車検車対策について
内木 義昭 様( 国土交通省 北海道運輸局 自動車技術安全部 技術課 課長)

可搬式ナンバー自動読取装置を活用した無車検車対策についてご講演をいただきました。

講演冒頭では、車検の有効期限が切れた自動車が公道を無車検運行している実態についてご報告いただくとともに、その対策として①はがき送付による早期是正、②街頭検査による取締り強化などが行われていることのご説明をいただきました。

これまでの街頭検査の課題として、無作為に引き込んだ車両の車検証や検査標章を確認することから、検査できる車両の数には限界があることが報告され、ナンバー自動読取装置による無車検査対策の必要性についてご説明いただきました。

可搬式ナンバー自動読取装置は、①昼夜ともに認識率90%以上であること、②対象車両速度100㎞/hまでの読取が可能であること、③読取後1.5秒以内に無車検車両の警報表示が可能であること、④車種のアルファベット化、ラグビーワールドカップや東京オリパラナンバープレートへ対応できることなどが機能要件として設定された装置開発を実施し、平成29年度に全国で実施された実証実験を経て、平成30年度から運用を開始していることが報告されました。 全国での運用実績では、平成30年度は46回の運用で約37,000台の読取を行い、43台の無車検車を検出、令和元年度は86回の運用で約53,000台の読取を行い、67台の無車検車検出がなされ、本装置による無車検車対策が実用化されていることをご紹介いただきました。

現在、無車検車両への行政指導を行う立場から、より実効性の高いものにしていくためにどのような取組ができるか検討を行っているとのことです。

質疑応答では、ナンバー自動読取りの仕組みに関する質疑や、本装置を常設式とした注意喚起の取組の可能性やその課題などついて活発な議論が行われました。


講演の模様