活動記事
場 所:北海道開発技術センター 4F会議室及びオンライン(ZOOM)によるハイブリッド開催
「寒地ITSの記憶と北海道ITS推進フォーラム」と題して、北海道のITSに関してこれまでに行われて来た取り組みについてご講演いただきました。
当フォーラムの前身である札幌圏ITS推進フォーラムの設立から、昨年で25年となりました。設立数年前から、産官学の垣根を跨いだ「北海道におけるITS推進懇談会」にて、北海道におけるITS開発の長期的な視点からの推進方針に関しする議論が行われてきました。情報通信は距離を超越できるという利点を活かした、ITSと北海道の親和性が注目されておりました。懇談会の中で示された「北海道におけるITS開発推進フレームワークスタディ」(H7)では、以下の2つの視点と6つのキーワードが大きな将来の方針とされました。
視点:「安全・安心」「くらし・活力」
キーワード:①交通事故、②防災、③地域の活力&新しい産業、④環境、⑤北海道ライフ、⑥ふゆ
これらの視点とキーワードをもとに、「北海道における地域ITS構想」として種々のフレームワーク・構想が提案されてきました。一例として、「道北圏ブリザードネット構想」(H11)では、冬期の安全走行支援としてセンサやミリ波レーダによる車両検知と分散設置型情報板による視界悪化情報のリアルタイム発出を基軸としたネットワークシステムが提案されています。この「北海道における地域ITS構想」をもとにして、当時の北海道開発局開発土木研究所(現在の寒地土木研究所)は民間企業との公募共同研究を実施し、様々な技術開発に取り組みました。例えば、試験道路において、可視カメラ・赤外線カメラ、およびミリ波レーダを設置し、吹雪による視程障害を検知・監視に関する現地試験を行いました。また、これらの共同研究においては、エクストラネット・ベースの共同作業空間である、ITS/Win仮想研究所を活用して作業が取り組まれていました。
その他にも、道路情報を記述するXMLの定義の一つであるRWML (Road Web Markup Language; H15)や、吹雪時の警告灯と視線誘導の2灯式の自発光デリネータを搭載した寒地AHSパイロットシステム(H14)、北海道の主要都市間の距離と所要時間を検索し、経路上の情報を合わせて表示する「距離と時間検索」(H14)、吹雪時の視界悪化予測情報を提供する「吹雪の視界情報」(H21)などが検討され、これまでに提供もされています。
これらのような、当時としては画期的・先進的な構想を受けて、北海道ITS推進フォーラムは、名称の変更や改組などを経つつも、講演会や地域ITS研究会を通じて、産学官の諸機関や専門家の連携、及び地域ITSの推進に向けた啓発・普及、調査研究、支援協力等に尽力して参りました。講演の最後では、当フォーラムの活動が、「北海道におけるITS開発推進のフレームワークスタディ」で示された「安全・安心」、「くらし・活力」に貢献できるよう期待すると述べられました。
質疑応答では、次の25年に対して、AIの利用を始めとした将来の展望、北海道など寒冷地に特有な冬の問題に対する設立当時の温度感、などの意見交換がなされました。


「生成AIを活用した道東周遊旅行商品の開発について」と題して、観光マネジメントや観光マーケティング等に関する様々な取り組みについてご講演いただきました。
ひがし北海道自然美への道DMOは、「ひがし北海道に点在する自然美を交通ネットワークでつなげ有機的に結び、国内・国外の人々に伝え、観光交流を無限なまでの可能性へと活性化し、ひがし北海道の文化的、経済的発展に貢献すること」を目的に、2018年7月に設立されました。
今回は、令和7年度における観光庁の「観光DX推進による地域活性化モデル実証事業」において、ひがし北海道DMOの「生成AIを活用した新しい地域周遊プランの創出」が採択されたことから、具体的な取り組み内容についてご紹介いただきました。
本事業は、ひがし北海道DMOが実施している観光客を対象とした対面アンケートやWEBアンケートのほか、WEB上にある宿泊施設や交通などの様々な観光に関連するデータを収集・整理し、生成AIにインプットすることによって、周遊プランの作成を行い、「生成AIによる新規の周遊旅行商品を作成し、旅行会社から販売」することを目的としています。
特徴としては、インプットデータを基に、国別・シーズン別にあたかも実在する人物のように設定されたペルソナ像(顧客像)を作成し、そのペルソナに対してインタビューを実施することで、生成AIが作成した周遊旅行商品の内容をブラッシュアップしていく点が挙げられます。
生成AIの活用により、これまで人間が行っていたデータ分析の時間が大幅に短縮され、従来の経験や知識だけでは気づかなかった商品や行程の提案が可能になるなど、多くのメリットがあるとのことです。
一方で、旅行会社への提案においては、現実的ではない行程を提示してしまうケースもあるため、人間によるチェックが不可欠であり、また、高度な行程を生成するためには、インプットするデータベースの精度や構築が重要であり、その整備が課題であるとのことです。
観光業界は人手不足が顕著であることから、生成AIを使う人材と生成AIのアウトプットをチェックする人材を育成しながら、生成AIを活用していくことが今後重要と考えておられるとのことです。
質疑応答では、生成AIの活用によって新たな発想が生まれたか、新たな商品開発につながったか、また行政への政策提言に結びついたかといった点について質問がありました。さらに、旅行商品開発の横展開として、購買活動やお土産商品の開発への応用可能性についても意見交換が行われました。これらのテーマをめぐって、活発な質疑応答が展開されました 。


1. ライドシェアとは
ライドシェアとは、一般のドライバーが自家用車を活用して有償で人を送迎する仕組みを指し、海外ではUberやLyftなどが広く普及していますが、日本では道路運送法により、自家用車による有償旅客運送は原則として禁止されていると述べられました。ただし、一定の条件のもとで例外的に認められる「日本版ライドシェア」が制度化されており、今回の講演で詳しく紹介されました。
2. 日本版ライドシェア制度の概要
日本版ライドシェア(自家用車活用事業)は、タクシー不足が発生する地域や時間帯において、タクシー事業者の管理のもと、一般ドライバーが自家用車で運送を行うことができる制度です。この制度は道路運送法第78条第3号に基づいており、事業者の責任のもとで安全管理が行われるとのことです。
この制度は2024年3月に創設されたもので、特定の地域や時間帯に限定した運行、事前登録した一般ドライバーの活用、アプリによる配車管理などが特徴であると述べられました。
スライドでは、海外型ライドシェア等と比較しながら、日本版の特徴として「安全管理・運行管理をタクシー事業者が担う点」「地域限定・時間限定である点」等が紹介されていました。
さらに、地域の交通課題に応じて「公共ライドシェア」と呼ばれる自治体主導の取り組みも拡大しているようです。
3. 制度のバージョンアップ
2024年以降、制度は国土交通省によって段階的に見直し・拡充が進められています。これにより、運行エリア・時間帯の柔軟化が行われたり、配車アプリ不使用形態でも活用しやすいものとなったりするなど、さらなる制度活用が期待されています。また、タクシー事業者以外の参入についても議論が進んでいるとのことです。
4. 北海道内の導入事例
北海道では、札幌交通圏をはじめ、伊達圏、松前圏、釧路市阿寒町、富良野市で導入事例があります。
札幌交通圏では、タクシー不足を補う形で国土交通省指定地域として運用が始まりました。
伊達圏では、自治体とタクシー事業者が協議・連携して運営体制を整えています。松前圏では、高齢者の通院や買い物支援等を主な目的として運行されております。阿寒町や富良野市では、観光需要の増加に伴うタクシー不足を補う形で運用が始まり、地域住民と観光客の双方に対する移動支援に活用されていくようです。
一方で、運転手の確保や報酬体系の調整など課題も多いようです。現場での実証データをもとにさらなる制度改善が進められているとのことです。
5. 今後の展望
国土交通省では、タクシー事業者に限らない柔軟な運用や、地方公共交通全体の再編・連携を見据えた制度拡充を検討しています。北海道においても、交通空白地の解消や観光地へのアクセス改善など、多様な社会的目的に対応する形でライドシェアの活用が期待されています。
講演の最後では、「安全性と利便性の両立」をキーワードに、地域交通の維持と新たなモビリティサービスの共存を目指す方針が示されました。
6. 質疑応答
アプリ利用時の「タクシー」と「ライドシェア」の選択が可能かどうか、地方部でのライドシェア導入の可能性、余った自家用車にドライバーを派遣する代行運転の提案、ライドシェアの効率性の改善策など、様々な質問や意見が出され、活発な意見交換が行われました。


