活動記事
1. どうして交通が必要なのか
交通の基本的な役割は、人や物が移動する行為そのものではなく、経済活動や社会活動の基盤としての役割にあると強調されました。 古代の移動は狩猟や物々交換が目的であり、現代では目的達成のための手段としての交通が主流である。分業が経済を発展させるには物資の移動が不可欠で、交通コストを下げることが経済活性化の鍵となるとのこと。 ローマ街道の例を挙げ、道路は情報と物資の輸送という根源的な役割を担ってきたと解説。現代では情報伝達はICTが代替可能となり、人の輸送は鉄道や航空の効率が高く、物資輸送においては道路/鉄道/海運の適切な分担が重要性となると述べられました。
2. 持続可能な交通社会の実現に向けてなすべきこと
持続可能な交通には、安価で継続的なサービス提供が不可欠であり、これは移動コストの軽減に直結するとのこと。 講演ではインフラ側の視点から6つの方策が提示されました。①円滑性の向上、②安全性の向上、③安価なエネルギーの提供、④省人化(人件費抑制)、⑤道路建設費用の軽減、⑥維持管理費用の軽減。 特に税負担増による経済への悪影響を指摘し、道路の整備・維持コストの軽減が重要と述べられました。
3. ITSに期待されること
ITS(高度道路交通システム)は、車両・道路・利用者を情報通信で結び、交通問題解決を図るものである。 円滑性向上では信号制御高度化が有効である。安全性向上では生活道路での速度抑制や歩行者検知などの技術が効果的で、円滑性とも相乗効果がある。エネルギー低減に直接寄与するITS技術は現状少なく、人員削減を可能にする自動運転やマルチモーダル輸送促進が省人化(人的エネルギー削減)には重要と指摘。維持管理費用軽減への貢献は限定的で、費用対効果の低いシステムは、技術成熟を待ってから導入すべきであり導入判断には慎重さが必要と述べられました。
4. 省エネとITS
具体例として、シンプルITSと題した信号制御の最適化による旅行時間短縮(松山市での実証で年間6億円相当の効果)や、高速道路入口での流入調整(ランプメータリング)による渋滞削減効果を紹介。安全性向上策としては、ラウンドアバウトや2段階横断施設の設置により速度抑制と歩行者保護が可能であると報告。交通事故リスクマネジメントとして、可変速度規制(VSL)や注意喚起表示や事故リスク考慮型経路案内アプリによる約3%の事故削減効果が紹介された。さらに自動運転について積雪寒冷地での課題が述べられた。また、維持管理コスト軽減の観点から、比較的交通量が少ない交差点(20,000台/日以下)では信号をラウンドアバウトに置き換えることを推奨しました。
5. エネルギーに関する展望
1970年代の石油枯渇論や地球温暖化論に触れ、エネルギー資源の枯渇は近い将来には起こらず、温暖化の影響は限定的であることが述べられました。 再生可能エネルギーは必ずしもCO₂削減に直結せず、コスト増や自然破壊(例:メガソーラーによる生態系損失)を招く場合があると指摘。特に再エネ賦課金による電気料金上昇が経済に与える悪影響を懸念した。 EV(電気自動車)については、発電段階のCO₂排出を含めると必ずしもハイブリッド車より優れていないと指摘し、補助金依存はエネルギー効率の低さを意味すると述べ、技術成熟を待った導入を推奨しました。
6. 質疑応答
質疑では、吹雪時の安全確保とコストの関係について議論がなされた。吹雪回避による遠回りは短期的にはコスト増でも、重大事故や通行不能による社会的損失を避ける点で有効との見解が示された。 自動運転導入エリアと気象条件の制約などが議論された。自動運転は現状、雪や大雨などの悪天候下では運行が難しく運行設計領域(ODD)の設定が必要であるとの見解が示された。





