活動記事

2003年1月29日
平成14年度 第2回地域ITS研究会
日 時:平成15年1月29日(水)
場 所:(財)北海道道路管理技術センター 会議室

 

話題提供1
冬期路面管理用滑り摩擦抵抗測定機について
野田 竜也 様
(ソリトン・コム(株) 常務取締役)

移動センシングによる冬期路面対策の手法として「車載式加速度計」を用いた路面の滑り抵抗値の測定システムの説明をいただいた。

  • 現在の路面管理は目視が主であるが、諸外国の管理基準やサービス水準を例に、今後は定量的な数値で路面管理することにより、滑り止め剤や凍結防止剤の有効投資を提言。
  • 滑り摩擦抵抗測定機の特徴として、取付けが簡単なこと、短時間(3秒)のブレーキロックで測定可能、GPSによる位置情報の記録ができることなどを紹介。
話題提供2
路面状態検知センサの研究開発について
金村 直俊 様
(札幌総合情報センター(株) 情報システム部 調査研究プロジェクトリーダー)

固定センシングによる冬期路面監視として、北海道立工業試験場などとの共同研究による「路面状態検知センサ」の説明をいただいた。

  • 現在の凍結路面対策は砂、凍結防止剤、融雪剤等の散布及び消雪・融雪施設であるが、エネルギーコストの削減や安全かつ効率的な管理作業の必要性から、正確な路面状態の把握が必要である。
  • このセンサの用途は、凍結防止剤等の散布タイミングの最適化、ロードヒーティング制御を高度化が挙げられ、結果としてコスト削減が可能になる。
  • このセンサを用いたシステムの課題としては、現状監視だけで十分か、パトロールとの差別化、得られた情報を道路管理者がどのように利用するかなどである。

意見交換会
2件の話題提供の内容について、各会員の立場からの意見交換が行なわれた。

  • 「車載式加速度計」で計測されるすべり抵抗値は、他の計測器と比べ、大きな誤差はない。100分の2レベルの精度は可。ただし、車両ごとのABS装備車では数値が高くなるなどの違いはある。
  • 諸外国の冬期路面管理についてはPIARC札幌大会での報告のほか、最近ではアメリカからレポートが出されている。
  • フィンランドでは5段階の管理基準を設け、性能規定で道路管理の発注注を行っている。努力目標を決めてきちんと作業をしていれば、自然現象なのでそれが達成できなくても裁判で管理瑕疵が問われることはないようだ。
  • 除雪・路面管理を性能規定で発注することにより、基準値を満足する最小限の散布量になり、コストの削減につながるのでないか。
  • フィンランドでは、受託者と発注者の双方がすべり抵抗値を計測し、定量的に判断・管理・評価ができるようになっている。
  • 定量的な裏づけからサービスレベルを明確にすることは必要であるが、それが果たして住民や道路利用者に通じるものなのかなどについて、今後、官民のコンセンサスが大切である。
  • 道路利用者のニーズとは、サービスレベルを全体的に上げるのではなく、極端に低い状態(制御不能のような感じ)を無くしてほしいのだと思う。
  • 摩擦抵抗値の公開については、道路管理者側からは立場として難しい。
  • マスコミが欲しい情報をビジネスモデルとして考えるが、採算性が不明なので実験レベルである。
  • 車両本体に装着されている加速度センサを利用すれば、摩擦抵抗の情報を一般の車から採ることができるう。そういうところで官民がお互いに情報の提供をしあえば、良い方法が見つかるのでは。
  • ABS始動時のパルスを感知すれば、滑る・滑らないの路面判断ができるので、もしメーカーがそのデータをオープンにしてくれれば、様々な活用が可能となり得る。
  • 固定センシングと移動センシングを合わせることにより、どのような道路管理やニーズへの対応が可能か、また研修発表というレベルから具体的な展開へ持っていくようなケーススタディを行うことで、様々なビジネスのパターンや、議論による新しいものが出てくるかもしれない。
  • 管理の効率化とコストということ管理面で大事だと思うが、最終的には利用者ニーズにどう応えるかとが、一つの目的であり、ゴールである。
  • 産学官の連携は、利用者側の視点を意識として常に持った方がわかりやすい。利用者ニーズを見据えた話をすると方向性が見えてくると思う。