2003年12月15日
平成15年度 第1回地域ITS研究会
日 時:平成15年12月15日(月)
場 所:(財)北海道道路管理技術センター 会議室
話題提供1
電子タグによる観光流動データベース活用ビジネス
有村 幹治 様
(独立行政法人北海道開発土木研究所 特別研究員)
発表の様子
討議風景
三浦・青木賞にてファイナリストとなった『電子タグによる観光流動データベース活用ビジネス』を題材に、観光情報の収集から、ビジネス化への展開についてご紹介いただいた。
- 従来、観光客の入り込み数のデータは行政で把握していたが、どこからどこへ観光客が移動しているのかという「観光行動」は、官民ともにデータが不足していた。
- 事業形態として3段階の事業形態を考えている。
①観光用周遊パスポートやスタンプラリー帳を対象とした電子タグ発行事業
②パスポートやスタンプラリー帳等の電子タグ利用履歴の収集による観光流動データベース構築事業
③観光流動データベースを用いたコンサルティング事業
- 今回紹介した事業形態のほか、スタンプラリーの管理代行業務、マイレージ発行によるリピーターの育成事業などの発展が考えられる。
話題提供2
情報観光学会について
金村 直俊 様
(観光情報学会 理事)
「情報観光学会」の設立とその活動についてご紹介いただいた。
- 観光情報学会は、観光と情報の融合による新しい学問領域の創出、人材育成、観光振興による地域の活性化への貢献を目的としている。
- 将来像としては、①会員限定のソサイアティであること、②会員であること自体がステータスとなるような活動を行うこと、③実践者(実践のプロ)と研究者(研究のプロ)がその成果を相互に公表し、その成果が実践と研究に大きなインパクトを与えて社会貢献できるようになること、といったことを目指している。
- 情報学会は総会の下、活動主体であるX(エックス)観光情報学研究会で組織されており、会員はこのいずれかの研究会に属している。
- 現在7つのX(エックス)観光情報学研究会があり、札幌や沖縄などの地域に着目したものから、北大学生など所属組織に着目したもの、また、スノーリゾートなど産業に着目したものなどさまざまである。
意見交換会
1)話題提供①について
- 電子タグによる観光流動データベースは、手間や費用をあまりかけずに今まで得られなかった動態基礎情報を容易に手にすることができる。
- 官がデータ収集を行い、その中で必要なデータを利用して付加価値を付け広げていくのは民ではないか。
- このような手法で観光のポテンシャルを引き出すことができれば、北海道の観光産業が成長していくのではないか。
- 電子タグは、公共交通への展開も考えられる。
- 従来のパーソントリップ調査はアンケート表に記入する項目が多く、調査対象者に大きな負担をかけていたが、この技術と組み合わせることで、容易に調査することができる。 このように電子タグ、GPS、紙などのメディアにとらわれずにデータを有効利用するとよいのではないか。
- 現在、道の駅のスタンプラリーでは、集計、チェックなどの作業に手間と時間がかかっている。この仕組みによって、これら作業の軽減ができる。
- 海外ではITSがビジネスとして成り立っているが、日本では、ITSへの取組みは官が主体でビジネスに結びついていない。
2)話題提供②について
- 観光情報学会は、今後研究会を増やしていく予定であり、そのための会員を募集している。
- 研究会は、観光地以外のところもターゲットにするのはどうか?
- 地域の方の意思で研究会を立ち上げているので、その方たちに研究会を立ち上げる意志があればできると思う。
- 学会の研究内容については、基本的に公開しない。会員内の情報としている。