活動記事

2004年2月3日
平成15年度 第2回地域ITS研究会
日 時:平成16年2月3日(火)
場 所:(財)北海道道路管理技術センター 会議室

 

話題提供1
第10回ITS世界会議(マドリッド)に参加して
上村 達也 様
(独立行政法人北海道開発土木研究所 道路部防災研究員)

発表の様子

討議風景

2003年11月にマドリッドにて開催されたITS世界会議に参加されたお二人から、世界会議の概要、テクニカルセッション、テクニカルツアー、展示会などの模様について紹介いただきました。

  • ITS世界会議は、世界3地域を代表するITS団体(ERTICO、ITS America、ITS Japan)が共同で開催するITSに関する世界最大の国際会議である。
  • 会議は毎年開催されており、開催地は3団体が持ち回りで決めている。2004年は、名古屋にて開催予定である。
  • EUでは、事故回避、軽減などの事故対策を強く推進(eSafety)しており、事故死者数を半減することを目標に、1億6千万ユーロもの開発事業費を投入する予定である。
  • 欧州独自の衛星測位システム「ガリレオ」が2003年5月試験開始、2008年運用開始予定であり、注目されている。
  • 本会議では、約230セッション、900以上の発表が行われた。
  • 北海道開発土木研究所から3つの論文を提出し、「利用者ニーズ」、「イベントマネジメント」、「都市の情報サービス設計」のプレゼンテーションセッションで発表を行った。
  • マドリッドは、ヨーロッパの中でも、5本の指に入る渋滞の激しい都市である。市が運営しているバスを年間550万人が利用しており、バスが管制制御されている。
  • バス管制センタでは、ITVカメラにより渋滞を把握し、各バスへ無線にて連絡している。また、警察も別途ITVカメラを各所に配置しているが、情報の共有はしていないようである。
  • バス停、バス車内の案内板を遠隔制御することにより、バス利用者へ情報提供を行っている。
  • 展示会は、開催地(ヨーロッパ)の展示が多く、イラク戦争の影響か、アメリカの展示はほとんど見当たらなかった。
話題提供2
しりべし*e街道の取組みについて
山際 祐司 様
(北海道開発土木研究所道路部防災雪氷研究室  主任研究員)

今冬から、後志管内で始まる官民連携による冬期道路情報提供実験の概要についてご紹介いただいた。

  • 道路管理者と地域の方々から収集した道路・気象情報を組み合わせ、きめ細やかな冬期の道路情報を道路利用者に提供することにより、安全、快適な道路環境、地域振興の支援を目的としている。
  • 実験主体は、開発土木研究所、(財)北海道道路管理技術センタ、(財)日本気象協会、小樽開発建設部で、後志観光連盟に協力いただき実施している。 ・提供する情報は、実施機関のテレメータ、天気予報等のほか、地域のボランティア(コンビニ、ガソリンスタンドなど)が自らの判断で発信する路面や道路状況などの情報である。
  • 情報を提供するボランティアは、店舗のPRをすることも可能である。
  • 情報のリアルタイム性を高めるため、ボランティアの情報は、入力後4時間で自動的に削除される。
  • e街道は、RWML(道路用web記述言語)を活用することによって、分散した情報を容易に利用できる仕組みとしている。
  • e街道は、①官民連携によるきめ細やかな冬期道路情報提供サービス。②北海道らしい冬型のボランティアサポートプログラム。③道路管理者の持つ情報の有効活用。④地域の活性化を目指している。また、今後は全道への展開を視野に入れている。

意見交換会

1)話題提供①について

  • ITS技術は成熟してきており、今後は、より利用者ニーズにそった技術開発が求められる。
  • ヨーロッパでは渋滞対策よりも、交通事故対策を重視する傾向がある。2010年までに交通事故を半減するという目標がある。
  • バス交通網が発達しておりバスレーンが多い。地下鉄との連携もとれている。
  • マドリッドをはじめスペインではロータリー交差点が多く、高速道路でも適用されていた。

2)話題提供②について

  • e*街道は民の情報を確保することがポイントである。
  • e*街道では、質・量の確保するためのひとつとして、選択式の入力フォーマットとするなどを用意している。
  • コンビニ、スタンドなどに広く案内を出しており、実験開始までに、協力していただけるボランティアが増えることを期待している。
  • しりべしiネットのiセンタが通信員やiセンタ利用者(バス、トラック運転者等)から情報を集めており、情報入力はパスワード管理している。
  • 評価手法として、①情報提供者の評価と②情報利用者の評価を考えている。なお②情報利用者の評価として、情報を得てどういう行動をとったかなどのアンケートをweb上で行う予定である。
  • 情報が4時間で消えるのはもったいないので、例えば4時間以内の情報は赤点滅、12時間以内の情報は薄赤など、もう少し長い時間表示してあっても良いのではないか。
  • 過去のボランティア情報を検索が可能になるとより有効に利用できるのではないか。例えば、昨日の今頃の路面状況などがわかれば便利だと思う。
  • 現時点では、リアルタイムな情報を優先して提供しているが、情報提供の頻度などについては、本年度の実験の結果、利用者の意見を聞いて改良していく予定である。
  • 除雪情報などの提供は、スマート実験においても利用者ニーズが高かったが、提供する道路管理者への負担が大きいため今回の実験では行わない。ボランティア情報のコメント欄に入れていただければ効果が高い。
  • カメラ付携帯電話からの画像を取り込む技術は現在開発中である。
  • 本実験は2ヵ年で実施する予定で、今年の実験結果の改善点などは来年の実験に反映していく予定である。