活動記事

2006年11月8日
平成18年度 第2回地域ITS研究会
日 時:平成18年11月8日(木)
場 所:(財)北海道道路管理技術センター

 

話題提供1
「ITS世界会議ロンドン大会」について
高石 幸一 様
(NPO法人 ITS Japan 普及促進グループ 部長)

ITS世界会議の開会式、セッション、展示の概要や、次回大会などの話題提供をしていただきました。

(1)会議概要の報告

  • 会場 英国ロンドン エクセル
  • ロンドン(ExCeL London)
  • 会議登録者:75カ国 約3,000名、展示会来場者 約7000名 ・投稿論文数:約900(AP約250)
  • 会議数 200以上(制度・政策、技術・研究、スペシャルセッションなど)
  • 開会式では、アジア太平洋代表として、豊田ITS Japan会長、日本政府代表(総務省)、次回開催国の中国代表の挨拶があった。
  • 展示会へは243の企業・団体が出展。日本からは18企業・団体が出展した。
  • ロンドンでは渋滞課金やオイスターカードと呼ばれる非接触型ICカードによる公共交通システムなどが充実
  • 次回大会は中国北京。

(2)会議に参加して
 
(北海道開発局建設部道路計画課 道路調査専門官 村上 睦様)

ITS世界会議に参加したセッションについての報告とイギリス連邦道路庁におけるITSの取り組み、イギリスにおける交通関連施設の紹介をしていただきました。

  • 交通事故死0を目指す0ビジョンについて、車側の安全性への取り組み(日本、トヨタ)と利用者
  • 家族への啓発による事故減少事例(アメリカ、ユタ州)の取り組みが紹介された。
  • 環境をキーワードにしたITSの取り組み事例としてアメリカ(サンフランシスコ)と日本(名古屋)の事例が紹介された。 サンフランシスコの事例では、ITSシステム(スマートカード、ETC)導入によりB/Cは高くなっているが、排出量抑制自体は大きくない。しかしながら、環境面の効果が少ないからといっておろそかにできないというスタンス。
  • 名古屋ではTDMの一環としてエコトラベルの実験をしている。鉄道などに乗り換えるとエコポイントがたまり買い物などで使えるシステム。
  • イギリス連邦道慮局では民間組織と協力して道路利用者へ交通情報を提供するシステムや交通制御システムの統合化(UTMS)、既存の計測機器を有効活用した渋滞緩和プロジェクト(ATM)に取り組んでいる。
  • イギリスでは横断歩道周辺に注意喚起を促す施設やハンプなどの車の流入抑制、ロードプライシングカメラなど整備が進んでいる。
  • ロンドンの地下鉄はプリペイドカードが普及しており割引カードや他社への乗り換えもスムーズ。

【意見交換】

■日本メーカーの出展について

  • デンソーはインカメラで瞬きを検知し居眠り運転を防止するシステムの展示を行っていた。

■中国の動向について

  • 次回開催の中国では2008年北京五輪、2010年上海万博を控え、ITS Japanに留学生を派遣するなど意欲的。
  • 中国の道路交通情報は欧州のRSTMCと日本のVICSの一騎打ちとなっている。 ■アジア・太平洋ITS会議について
  • ITS アジア・太平洋会議において、アジアで世界会議が開催されない年にアジア・太平洋ITS会議を開催することが決定された。
話題提供2
「日産SKYプロジェクト」
~積雪寒冷地での可能性~について
藤倉 利之 様
(日産自動車(株) 技術開発本部 IT&ITS開発部 企画グループ 課長)

交通事故の低減や渋滞緩和を目指す「SKY(Start ITS from Kanagawa Yokohama)プロジェクトについてお話頂きました。

  • ITSを利用し、交通事故低減、渋滞緩和を図ることを目的とする。
  • 方策として、車単独の技術に加え周辺車両の状況、自車を取り巻く交通環境の情報を利用する。
  • 2006年から実証実験を始め、2010年の実用化を目指す。
  • 交通事故低減の取り組みとして2015年までに日産車の関わる死亡・重傷者数を95年比で半減を目標。
  • 方策として、対車両、対歩行者の路車間通信システムを活用。
  • 渋滞緩和対策としてプローブ情報を利用した動的経路誘導システムに取り組んでいる。
  • カーウィングス会員、タクシープローブからの情報をSKYプローブセンターで共有し、カーナビに情報提供。

【意見交換】

■システムの概要について

  • 利用者への負担増は基本的にない。ただし、プログラムのインストール、ビーコンのアンテナが必要。
  • 道幅が5.5m以下の道路は路地に車が集中することを防ぐため案内の対象としない。
  • 児童生徒の登校時間帯にルートをはずすことはないが、ゾーンをはずすことはある。
  • 積雪寒冷地への対応は今後の課題、ワイパーやABS、ライトの情報は取得可。
  • ドライバーに情報を伝えるタイミングは速度によって変えるなどのロジックを入れている。
  • 日産的には純正カーナビの拡販やユーザーの繋ぎ止めが目的。

■モニタ数について

  • モニタはカーウィングス会員を対象にダイレクトメールで募集。2000名を確保。

■他機関との連携について

  • 横浜市にから実験の便宜は特にないが、県警にはデータを提供している。県警では信号制御の参考にしている。
  • 実験の助成はUTMS協会から受けている。
  • サービスインフラについては2010年度導入に向け各省庁、自動車各社含め方向性の検討や標準化が進められる。日産は先行して開発している。