活動記事

2007年1月18日
平成18年度 第3回地域ITS研究会
日 時:平成19年1月18日(木)
場 所:(財)北海道道路管理技術センター

 

話題提供1
北海道におけるインターネット道路情報提供と道路用Web記述言語RWMLの活用について
加治屋 安彦 様
(独立行政法人 土木研究所 寒地土木研究所 寒地道路研究グループ 上席研究員)

北海道におけるインターネット道路情報提供の現状として寒地土木研究所、道内の各開発建設部、札幌市の取り組み事例をご紹介いただき、道路用Web記述言語RWMLの活用についてご説明いただきました。

(1)北海道におけるインターネット道路情報提供の現状

  • 北海道開発建設部では、開建ごとに、地域性のある道路情報サイトを運営している。各サイトで提供する情報を整合のとれたものにすることが現在の課題。
  • 寒地土木研究所では、北海道の道路情報総合案内サイト「北の道ナビ」を運営している。「北の道ナビ」は、1日平均4千アクセス、サイト内のコンテンツのひとつ「距離と時間検索」は1日平均約7,600のアクセスがある。
  • 「距離と時間検索」で峠を含むルートを検索すると、峠の画像や勾配、平年の雪の時期など詳細な峠情報へつながる仕組みとしている。
  • 道内において、「NEXCO」、「さっけん道しるべ」「冬の峠案内」「日勝峠の情報提供実験」「しりべしe街道」など、さまざまな機関で特色のある情報提供が行われていることをご紹介いただいた。

(2)道路用Web記述言語RWMLの活用

  • RWMLとは、インターネットの次世代言語XMLを活用して、ネット上に分散する情報の中から、位置や利用者の嗜好に合わせた情報(道路情報、気象情報、防災情報、地域情報)の選択的な提供を可能とした道路用Web記述言語である。
  • RWMLを活用する事により、ボランティアによる地域情報や、関連機関が管理する気象情報など分散された情報の中から必要な情報を容易に抽出し、ユーザーへ提供する事が可能である。
  • これまでシステムごとに入力していた情報を一本化することで効率的であること、情報内容を統一化することが可能となるなどの利点がある。
  • RWMLを活用したシステムとして、「さっけん道しるべ」「路線情報e街道」などがある。
  • 今後は、位置情報を活用した携帯コンテンツへの情報提供や、道の駅での情報提供などの応用が可能となる。
話題提供2
「日産SKYプロジェクト」
~積雪寒冷地での可能性~について
藤倉 利之 様
(日産自動車(株) 技術開発本部 IT&ITS開発部 企画グループ 課長)

交通事故の低減や渋滞緩和を目指す「SKY(Start ITS from Kanagawa Yokohama)プロジェクトについてお話頂きました。

  • 日産のテレマティクス(カーウィング)は、2002年にマーチに初めて搭載された。(全国で25万台、北海道地区では5,500台)
  • カーウィングでは、現在、オペレータサービス(ナビの設定などの案内)、情報提供サービス(Webと同様の情報を提供)、最速ルート検索などのサービスを提供している。
  • VICS情報で把握できる道路情報は、全体の10%程度であるのに対し、本システムでは、会員の情報を収集する事により、ほぼ100%の道路情報を把握する事が可能である。
  • SKYプロジェクトでは、神奈川県でニッサン車10車種10,000台を対象に実証実験を開始している。
  • 本システムで収集している情報は、基本情報(日時、場所)のほか、走行制御(エンジンの回転数)、エアコン関連情報(内外気温)、その他(ワイパー、方向指示)である。
  • 寒冷地で特に必要なデータとして、ABS、VDCなどを活用した凍結箇所の把握、ライトの点等、ワイパーの動き、気温などの情報を活用した吹雪箇所の把握などを考えている。
  • 寒冷地における実験として、07年度にニーズの把握、システム開発。08年度にモニタ実施検証、分析を予定している。
  • 北海道においては06年から過去のVICSやトラカン情報を基に最速ルート情報の提供を実施している。

【意見交換】

■リアルタイム情報の提供について

  • ブレーキの使い方などで吹雪の情報を捕らえる事ができるのではないか。
  • 雪堤で視界の悪い交差点の場所がわかると便利であると思う。
  • 街中のツルツル路面の場所がわかると非常に便利であると思う。
  • 初冬期や春など季節の変わり目の路面状態がわかると便利である。
  • 除雪車の前後の車両の状況についてのデータは有益であると思う。
  • テレメータのデータと車両データの相関をとると精度が上がると思われる。
  • 画像センサ(輝度)のデータで、吹雪の状態を把握することに活用できないか。
  • 今後カーナビの普及率が上がると、カーナビで制限速度の情報を表示する事により路側の情報板を少なくしてもよいかもしれない。

■データを蓄積する上でのメリットについて

  • 路面凍結時に、ABSの作動情報から「止まらない」、VDCの作動情報から「曲がらない」、その他「見えない」などドライブ感覚がなくなった時の事象をとらえると有益なデータベースとなる。
  • ヒヤリハット(事故に至らないまでも危険な事象)がどこで起きているか、発生箇所のデータを蓄積することで、最速ルートを加味し、事故多発箇所避けた安全ルートの検索ができると思う。

■ヨーロッパの事例について

  • 自動的に制限速度以上の速度が出ないようなシステムを作ってみてはどうか。ヨーロッパでは、速度違反の反則金が高く、制限速度以上の速度が出ないシステムもかなり売れていると聞いている。