活動記事
石北峠の路面温度や、可視光やマイクロ波による路面状況センシングの最近の研究に関してご紹介いただきました。
石北峠のイトムカの道路気象テレメータのデータを10年分集計した結果、10月や5月など、平野部では路面凍結が発生しないような時期でも、しばしば凍結が発生するので注意が必要であるとの報告がありました。
続いて、光学式の路面凍結センサ開発について紹介があり、路面での鏡面反射によってブラックアイスなどの非常に滑りやすい状態を検知する調査結果についてご紹介がありました。
最後にマイクロ波を使った路面状態判別センサについて紹介されました。南極でも雪や氷から放射されるマイクロ波を観測し、雪の温度や結晶の大きさなどを把握しているそうです。この仕組みを応用して、6GHzと18GHzの放射計を用いて路面から放射されるマイクロ波を測定し、路面状況を乾燥、湿潤、凍結、圧雪の4つに判別することができ、その的中率は90%を越えるとのことです。
ご講演では、センサ開発時の様々な試行や工夫などについて、わかりやすくご紹介いただきました。
富士重工(株)の黎明期から受け継がれる、「技術は人のためにある」という安全への思想と、アイサイトの20年の開発の歴史とそれを支えたスバルの知能化技術についてご紹介いただきました。
スバル360や、FF水平対向エンジンの例を引用して、車に乗る人の視点で設計が行われてきていることなどが紹介されました。特に、安全思想には0次安全(予知・予防)、1次安全(事故を回避)、2次安全(乗員の安全)、3次安全(被害の拡大防止)、それぞれの段階で事故を防ぐ技術があるとのことです。衝突安全試験も1965年頃から行っていることや、ダミー人形を使った衝突実験など、国内初の取組みについてご紹介いただきました。
アイサイトは、20年前ほど前からADA (Active Driving Assist)という名で、開発をスタートし、その後、色々な紆余曲折があったものの研究開発を続け、2008年、新型ステレオカメラと新型画像処理エンジンを用いて次世代ADAとして開発した「アイサイト」をレガシィに搭載。
このアイサイトが、ユーザの高い評価を得て予想を上回る搭載率となったことや、「ぶつからない機能」が評価され様々な賞を受賞し、中でも2010~2011日本自動車殿堂にも選ばれたことは開発者としてとてもうれしい、とお話されていたのが印象的でした。なお日本自動車殿堂は富士重工(株)としては、スバル360以来の名誉と言うことでした。
ご講演の中では、スバルのこだわりやアイサイトの開発秘話などもご紹介いただき、会場一同、熱心に聞き入っていました。