活動記事
川村先生からは、観光情報学の研究動向やIT技術を観光に活用した様々な取り組みについて紹介いただきました。
観光情報学とは、情報技術を活用して観光をデザインする研究分野で、2003年に観光情報学会が設立された新しい研究領域です。国際的にはGoogle やFacebookなども観光情報サービスに着目していますが、まだ社会実装の研究や実践については始まったばかりです。そこで、川村先生らは、今後の社会実装のため、大学の研究室でベンチャー企業((株)調和技研)を立ち上げたそうです。
続いて、観光情報の発信について上富良野町の調査結果など具体的な事例を交えてお話しいただきました。また、ホームページでの発信は、リアルタイム性に欠けるという弱点がある一方、SNSはリアルタイムな情報発信を可能とします。しかし、SNSではフォロワーなどの強い関係がある方にしか情報が届かないという弱点があること、また、個々の情報発信がバラバラに行われているのが現状とのことです。そこで、SNSで発信された情報を自動集約して提供する「キュンちゃんねる」を開発して運用していることなどの紹介がありました。
井内様からは、釧路開発建設部で取り組んでいるFacebookを活用した登記道路情報発信の事例を、昨年3月上旬の暴風雪に加え、今年2月中旬の暴風雪の事例を紹介いただきました。
昨年3月1~3日の暴風雪では4回の発信を行いました。閲覧者を分析したところ、3月2日まではオーガニックが口コミより多かったのですが、3日からは逆転しており、友人への情報の広がりが発生していることが確認されました。
また、本年2月17日からの暴風雪時の事例について、通行止めの国道で、ご本人が撮影したリアルな暴風雪の映像を交えて紹介いただきました。このときの最大の閲覧数は610名(平成25年3月の最大値は227名)であり、"シェア"した際に閲覧数が増えたそうです。これらのことから、アクセス数を増やすためには、よい記事を適切なタイミングで出すことと、シェア数を上げることが必要とのことでした。
高田様からは、災害時における道の駅の防災機能について実際に道の駅で調査を行った結果について報告をいただきました。
東日本大震災や、新潟県中越地震、昨年3月の道東暴風雪を受けて、各地域の道の駅で調査した結果が報告されました。道東のある道の駅のヒアリングでは、個人のSNSなどの情報が役に立った(情報が早く入ってくる)とのことです。また、災害時に役に立ったものとして、畳の部屋、軽油の自家発電機、無線LANのスポットなどが挙げられました。
これらの調査結果から、防災機能を向上するための課題として、災害時の道の駅の位置づけと有効活用が必要であること、水や電気、情報を確保をどのように行うのかということ、閉館時間の対応方法が挙げられました。また、避難者への食料などの無償配布が経済的負担になった事例があり、途中から有料で物資を提供した道の駅もあったとのことです。どこまで無償で提供するのかも課題の一つとして挙げられました。