活動記事
国土交通省が進めているETC2.0サービスや、ビックデータの活用、地域ITSの取り組み状況についてご講演を頂きました。
国内の道路では、「貧弱なネットワーク」、「渋滞による社会的損失」、「交通需要の偏在」、そして「交通事故」といった課題があります。 ネットワークが貧弱であるものの、そのネットワークを十分に使い切っていないという現状に対して、国土交通省では、必要なネットワーク整備とともに、今ある道路を「賢く使って」課題を効率的に克服することを目指しています。ITSは、道路を「賢く使う」ために必要な技術と言えます。
2014年から展開している「ETS2.0サービス」はこれまでのITSスポットサービスを進化させたものです。従来の渋滞回避や安全運転支援といった情報提供サービスに加え、経路情報を活用した経路選択優遇サービス、物流支援といったことも導入を予定しています。
また、ETC2.0では、ETC2.0対応車載器に蓄積されたプローブ情報(時刻・緯度・経度・速度・前後左右の加速度等)を路側機通過の際に取得しています。得られたプローブ情報は、道路管理のために利用することを前提に収集しており、講演では、交通安全対策、渋滞対策、災害時の通れたマップ、北海道における高速道路通行止め時の迂回行動把握等の活用例が紹介されました。
これまで高速道路に路側機を設置していましたが、今後は、プローブ情報を収集する路側機を一般道に展開していき、より多くのデータ収集を目指していくことのことでした。
質疑応答では、一般道に路側機を設置していくことの目的や、収集されるデータの内容、民間のデータとの連携等に関する質問があり、活発な意見交換が行われました。
メディア・マジック社が開発した低コストなバスロケーションシステム「バスキタ!」について、開発までの経緯、反響、サービスの概要、そして今後の展望についてご講演いただきました。
メディア・マジック社は、モバイルコンテンツサービスを展開するとともに、コンテンツ制作を支えるツールの開発も行ってきました。 冬期の北海道ではバスの遅れが多発しており、いつ来るかわからないバスを寒い屋外で待たなければならない、といった状況にあります。このような状況を改善するため、経済産業省の補助とジェイ・アール北海道バスの協力の下で「バスキタ!」のシステムを構築し、実証実験を行っています。
利用者向けのサービスとして、バスの遅延状況・バス停到着予定時間の提供、経路や乗り場の情報提供などを行っています。またよく使うバスを登録する機能も有しています。このサービスにより、利用者はバスが停留所に到着する時間にあわせて行動することが可能となります。
一方、事業者向けサービスとして、運行管理や遅延データ等を蓄積、確認することが可能となっています。
バス車内にはタブレット端末を設置するだけであり、従来のバスロケーションシステムよりも非常に安価に導入可能なシステムになっています。
しかしながら、地方のバス会社にとっては少しでもコストを抑えたいというニーズもあるため、自治体、バス会社、地域等と協議を進めつつ、広告、イベントとの連携等を今後検討していきたいとのことでした。
質疑応答では、札幌市内の他のバス会社へも展開した場合のシステム上の問題の有無など、技術的な質問の他、道内地方部への展開可能性などについての質問がありました。メディア・マジック社では、現在、さまざまな自治体、バス会社から問合せを受けているところであり、地域の足であるバスを維持していくツールとしてシステムが活用されることを目指しているとのことでした。
平成27年2月12日に東京で開催された第11回地域ITS推進団体連絡会の開催状況について、北海道ITS推進フォーラム 園田幹事から報告しました。
今回の地域ITS推進団体連絡会では、「今地域でITS推進がしなければならないこと」をテーマに、全国のITS推進団体から参加された代表者で議論したとのことでした。