活動記事
1980年代からAI研究に携わり、人工知能学会前会長を務めた日本の人工知能研究の第 一人者である松原先生をお招きしてご講演をいただきました。
「人工知能(AI)とITS」と題したご講演では、前半は「人工知能(AI)」について、後半ではITSのひとつのサービス実例として「オンデマンド・リアルタイム乗合い配車」についてお話しいただきました。
人工知能は、現在(2010年代)3度目のブームを迎えています(1度目:1950年代,2度目1990年代)。今回のブームはビッグデータ、IoTを背景として、特にディープラーニング(深層学習)の存在が大きいということです。ディープラーニングは、2006年のニューラルネットワーク研究者であるジェフリー・ヒントンらの研究成果が、現在のディープラーニングに繋がる技術的ブレイクスルーとなったことを教えていただきました。
松原先生はコンピュータ将棋の歴史を振り返って「1975年頃研究がスタートしたが、どうしようもなく弱い時間が長く続いた。2006年、機械学習で評価関数を作るメソッドによってプロ棋士と戦えるレベルに達し、2015年にはトップ棋士を超えている。コンピュータはこれまで人間のデータから学習していたが、もう人間より強くなったので、コンピュータ同士でたくさん対局して、そのデータで学習している(強化学習)。またコンピュータは人間データから、人間が思いつかなかった創造性も発揮している。」ということです。 ご講演の後半では、松原先生が代表を務める株式会社未来シェアが取り組んでいる、近未来の社会需要を見通したオンデマンド・リアルタイム乗合い配車システムの概要、サービスの形態、特徴、効果、東京臨海副都心エリアでの実証実験(2016年)の様子、ドコモとタイアップしたAI運行バス、今後の展開計画などについて具体的に詳しくご説明をいただきました。
質疑応答では、「AIが人間の知能を超えると言われているシンギュラリティ(技術的特異点):2045年問題について」、「吹雪の状況などを道路カメラ画像で確認し通行規制などの判断を行っているが、AIによる対応の可能性について」、「海外を含めて競合する配車サービスに競り勝つ戦略に関する意見」、「交通のみならず観光、農業、漁業分野におけるAIの活用の可能性などについて」といった質問があり、活発な質疑応答が行われました。