活動記事

2018年11月6日
平成30年度 第1回地域ITS研究会
日 時:平成30年11月6日(火) 14:00~16:55
場 所:北海道道民活動センター(かでる27) 1060会議室

 

講演1
積雪環境における自動運転技術の開発
江丸 貴紀 様(北海道大学大学院工学研究院 人間機械システムデザイン部門 准教授)

積雪寒冷地における高齢者・交通弱者等の生活利便性の維持向上を目指した研究として、自律移動ロボットのナビゲーション(目的地到達問題)を可能とするSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)と、積雪環境下において走行可能領域を推定する画像処理技術Semantic Segmenteitionの取り組みについてご紹介いただきました。

この、積雪寒冷地域の交通弱者支援のための雪道走行を可能とする自動運転技術の開発プロジェクトは、産学官のメンバーにより研究開発グループを構成して進めているとのことです。

自動運転のレベルは0~5に分類されていますが、法整備の他、道路環境の整備も問題として挙げられています。特に、北海道のような積雪寒冷地では雪道で可能かどうかが焦点となるとのことです。

このプロジェクトでは、積雪圧雪路面において雪塊や吹きだまり等の障害物を回避しながら30kmの自動走行を実現することを目標としているとのことです。

積雪路面のもとでは標識や路面標示等が認識できないため、ダイナミックマップを用いた自己位置推定は機能しません。このため、積雪環境下でも持続的に機能する雪道対応SLAM技術、雪道に対応可能な画像処理(セマンティックセグメンテーション)技術の他、カメラ・LiDAR・ミリ波レーダ等各種センサデータを活用した雪道対応センサーフュージョン技術について研究開発をすすめているとのことです。走行路検出ではDeep Learningを用いているとのことです。

質疑概要:

降雪時のLiDARの適用性、雪の反射強度や滑り摩擦のデータ取得、夜間のデータ取得、吹きだまりへの対応などに関する質問の他、レベル4に関する見通しや自動運転の将来像などに関する議論など、活発な質疑応答が行われました。


講演の模様
講演2
美瑛町のCRMによる観光振興
佐竹 正範 様(美瑛町政策調整課 課長補佐(ヤフー株式会社から出向中))

美瑛町は東京から2時間の距離にあり、人口1万人の町に年間170万人の観光客が訪れる町です。「美瑛の美しい景観を守り育てる条例」を2003年に施行、「日本で最も美しい村」連合にも加盟している一方で、農家の後継者不足や、商店街の衰退も進んでおり、人口減少等による地域内消費額を補うためには多くの観光客を呼び込むことが必要という現状についてご紹介いただきました。

次いで、美瑛町のCRM(Customer Relationship Management:顧客関係性マネジメント)の取り組みについてご紹介いただきました。基本的考え方として、マーケティングデータという資産化、顧客データベースという資産化を掲げており、具体の事業として、アンケート型プレゼントキャンペーンを行い、町内200箇所にQRコード(日本語、英語、繁体字、簡体字)を設置したとのことです。このアンケート調査の結果を来訪回数×居住地、来訪回数×来訪目的、来訪回数×性年代などで分析したところ、訪問回数10回以上が23%という驚異のリピーターの存在などを確認しました。さらにマーケティングデータを全公開するため町内業者向けアンケート分析報告会を開催したとのことです。

丘のまちびえいDMO(Destination Management Organization)は日本版DMO候補法人として登録しており、4つの戦略を持ちながら観光によるまちづくりを進めています。農家や商店と協働で体験型の観光商品を開発し、レストランバスを活用した観光商品は30~40代女性に大変好評であったとのことです。

質疑概要:

降雪時のLiDARの適用性、雪の反射強度や滑り摩擦のデータ取得、夜間のデータ取得、吹きだまりへの対応などに関する質問の他、レベル4に関する見通しや自動運転の将来像などに関する議論など、活発な質疑応答が行われました。


講演の模様
講演3
コネクテッドがもたらすモビリティ革命
~変革を求められる カーナビゲーション~
宮澤 浩久 様
(クラリオン株式会社 スマートコクピット戦略本部 商品ソリューション戦略部 主管)

人やモノの移動性を変えたモビリティ革命は、世界的な携帯電話の普及によってもたらされました。2010年以降は、スマートフォンが急速に普及し、これに伴い、音楽ソースはストリーミング配信へ移行し、デジタルカメラをも代替するようになりました。スマートフォンは顧客が求める多くのサービスをサポート可能なデバイスであるとのことです。

そのような中、自動車業界では、動力源、IT、利用形態などの変革が進んでいます。コネクテッドカーの外部との通信手段は、車載器に通信機器を組込んだものと、スマホを通じたものが主流となっています。また、車内エンターテイメントでは、スマホアプリと連携するものと、クラウドサービスがあり、クラリオンではクラウドサービスを重視しているとのことです。その事例として、Intelligent Voiceをご紹介いただきました。従来のカーナビの音声認識サービスは認識率が高くありませんでしたが、Intelligent Voiceはスマートフォンの技術を車載機に活用することで優れた音声認識を有しており、ユーザの利便性を向上させているとのことです。また、Smart Places Searchは、市販のナビゲーションで初めて、Google Maps Street Viewに対応し、併せてGoogleの豊富な情報の活用とオートコンプリート機能によるスムーズな目的地設定を実現したとのことです。さらに、Door to Doorナビゲーションでは、スマホとの連携を強化し、目的地や駐車場の検索や、車から降りた後の徒歩ナビも行うとのことです。

コネクテッドサービスの課題として、費用をどう確保するか、そのためのビジネスモデルは何かという点が挙げられました。 

質疑概要:

降雪時のLiDARの適用性、雪の反射強度や滑り摩擦のデータ取得、夜間のデータ取得、吹きだまりへの対応などに関する質問の他、レベル4に関する見通しや自動運転の将来像などに関する議論など、活発な質疑応答が行われました。


講演の模様