活動記事
ご講演は冒頭、近年、IoTやSociety5.0という言葉が注目されているが、これらはバズワード(もっともらしいけれど実際には定義や意味があいまいな用語という意)であり、大所高所でしか議論されていない側面があるので、本日は「自分にとって必要なことという視点」でお話したいというメッセージから始まりました。
内閣府の第5期科学技術基本計画(2016~2020)で「超スマート社会-Society5.0」を掲げているが、検索ワードで調べてみると世界(英語やドイツ語)ではindustry4.0が主流であり、Society5.0は極めて少ないということです。ちなみに5期計画で出現するワード「超スマート社会」「IoT」「AI」「ビッグデータ」は、4期計画の時には1回も登場していないため、技術進展が早いと捉えるか、先を見通せていないと捉えるか、様々な考えがあるということです。
近年、社会の技術進化が著しいが、物理世界(Physical World)と情報世界(Cyber World)に分けて考えると、物理世界は20世紀以降さほど大きく変化していない。一方、情報世界はムーアの法則どおり30年で100万倍の進化が続いている。ともすればどちらか片方の世界で考えがちになるが、物理世界と情報世界をかけ合わせることで(Cyber Physical 融合)、新しいことが無限に広がる可能性をご示唆いただきました。
そして、課題を解決するアプローチではなく、今実現できていないことを思い描くことに意味があり価値があること、思い描く未来をから遡って現在必要となる技術を開発するバックキャストアプローチが重要なことを、アマゾン・アップル・グーグルなどの事例を交え具体的に教えていただきました。
講演の中では、山本先生がご自作されたCO2モニタリングシステム・明度センサシステム・交流電流センサなどのご紹介があり、実際自分で制作してみると初めてわかる問題、データをモニタリングすることによる新たな発見など、とても興味深いお話をいただきました。
質疑応答では、シンギュラリティや5Gがもたらす将来像や可能性などについて質問があり、活発な議論がありました。そして今後の技術発展のために重要なのは余暇や娯楽などに着目し、「より楽しむ事」から新たな技術が生まれてくるとのご示唆をいただきました。