活動記事
「新しいまちの顔づくりプロジェクト ~新駅設置構想~」と題して、人口2万人を目指す当別町において、令和4年3月に開業したロイズタウン駅を中心とした新たなまちの顔づくりプロジェクトについてご講演いただきました。
当別町は札幌市の北側に隣接し、人口は15,316人(R5.12.1現在)。面積は422.86k㎡で横浜市や宇都宮市と同じくらいの大きさです。
本プロジェクトは、当別町の各種計画(第6次総合計画、まち・ひと・しごと創生総合戦略(第2期)、立地適正化計画)にも位置づけられており、公民連携による新駅の検討・既存施設の活用など「新しいまちの顔」となる地域を創出し、人の呼び込みにつなげる取り組みを進めていくと記載されているとのことです。
新駅であるロイズタウン駅周辺には、ロイズコンフェクトロイズタウン工場や、北欧の風 道の駅とうべつ等があります。まち単独で事業を行うのではなく、民間事業者との包括連携協定によるコラボレーションにより、新たな観光エリアの創出や、地域性を生かす土地利用の促進、Society5.0の実践により、当別町の魅力を発信し、観光から定住を目指しているとのことです。
ロイズタウン駅は令和4年3月12日に開業され、駅前広場は令和4年12月1日に供用開始となりました。ロイズタウン駅開業時には、ロイズタウン駅開業記念ツアーや、オンラインツアー、当別鉄道の歴史展等のイベントが実施されたとのことです。
さらにロイズタウン駅エリア賑わい創出事業として、自動運転バスの実証運行が実施されました。運行ルートはロイズタウン駅~ロイズタウン工場の約700mの区間で、令和5年6月30日~7月17日(9:10~16:45)で実施されたとのことです。運行頻度は毎時間4本~6本程度運行されており、フランスのNAVYA社のARMAという自動運転シャトルバス(乗車定員8人・自動運転レベル レベル3相当)が使われたとのことです。
実証運行の結果、約2,500人が利用し、札幌市や北海道外からの利用もあり、乗車された方からも好評とのことです。来年の1月~2月には冬季間の実証運行も予定されており、社会実装に向けての検討が進められているとのことです。
質疑応答では、実証運行中の課題や、実証運行の体制、効果検証の方法、バスの運転免許等に関する質問があり、活発な議論がなされました 。
北見工業大学情報処理センター長の升井洋志教授より、「GTFSをベースとしたユニバーサルバスロケーションシステムによる多地域展開」と題してご講演いただきました。
近年、バスの利用者および運転手の減少により、バス路線の廃止や減便が各地で相次いでいます。問題解決には、収益や利便性の向上、運行路線の効率化・最適化、自動運転やMaaS等の次世代運行システムの構築が挙げられますが、本講演では、バスロケシステムによる利便性向上と、データ解析による路線の最適化についてご教授いただきました。
GTFS(General Transit Feed Specification)は、経路検索サービスや地図サービスへの情報提供を目的に策定された世界標準の公共交通データフォーマットのことであり、公共交通情報を利用者に届ける手段の1つとして普及・活用されています。現在、国内では1000社くらいがGTFSを使用しているだろうとのことでした。
北見工業大学、網走バス、北海道北見バスで共同開発したバスロケシステムが他社と異なるのは、5分間でバスが進んだ軌跡を地図上に表示させている点であり、これによって現在の交通の流れが視覚的に分かるだけでなく、データを解析することで遅延予測、沿線情報に関する把握を行うことが可能となるため、より実態に合ったバス時刻表を作ることができるとのことでした。
また、情報収集から情報提供までのリソースを削減し、他社同士のシステムを統一化しやすくしたことで、今では他地域(宮城県名取市、静岡県掛川市、滋賀県甲賀市など)のバス会社が同じシステムを使用しているとのことでした。これは、インターフェースの統一化によるユーザーフレンドリーなシステムでもあります。現在、二次交通(飛行機を使用した後にバスで他都市に移動する等)への利用についても検討中とのことでした。
さらに、北見市が公開している地域別・年齢別の人口分布データ、バス停データ、バス運行データを用いることで人流を把握することができ、バス路線ごとの重要度について考察できるとのことでした。
質疑応答では、路線が多い大都市でのバスロケシステムの活用、動的GTFS情報の公開状況、効果的な地図表示方法、GPS情報のセキュリティに関する質問など、活発な議論がなされました 。